声劇「狐媚貼面商店街」

エンタメ

「改頭換面(かいとうかいめん)」…表面は改めたようでも中身は何も変わっていないこと。
「人は、彼らの魂に直面することを避けるためなら、どんな馬鹿げたことでもしようとする」 カール・グスタフ・ユング
こんにちは。メディア学部一年得田美潮です。
今回はメディア基礎実習aの授業で久々の声劇台本制作をしました、懐かしい……!
かなり前に趣味の一環で作っていたことがあったのですが、今回は今までとは違った作り方をしたので少し難しかったです?
さて、今回の台本のテーマは「人間の本性について」でした。
家族の前と友達の前で対応が違ったり、本当はこうした方がいいと思っていても目上の人を、怒られることを気にして言い出せなかったり、といった経験が皆さんそれぞれあると思います。
人は自分をよく見られたいがために、笑顔や取り繕いといったもので自分の本心を隠しますが、笑っていても内面何を考えているのかわからないのが人間です。また、何事にも勝者と敗者がいて、敗者は勝者を眺めていることしかできません。しかし、もしボロを出してしまったとき。人生は真っ逆さまに落ちてしまうでしょう。
本当の自分を隠して着飾って、よりいい人に見てもらおうとする人間の心理を描きました。
伝えたいことが伝わっていれば嬉しいです。
自分の演技の壊滅的な感じ、どうにかしないと……?
作成した声劇はこちら
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あらすじ
狐媚貼面(こびてんめん)商店街には多くの悩める人が訪れます。
この商店街は服、靴、ジュエリー、化粧品に限らず身体のパーツ、性格に至るまで、自分を着飾るものならなんでも揃うのです。
自分の理想を求め、同族のはずの人を蹴散らし、我先にと求め、勝ち取った戦利品を早速人は身につけます。安売りに負けてしまった人はお下がりにも縋り、人を化かすことに余念がありません。
そんな自分を変えることのできる狐媚貼面商店街ですが、三つの約束事を守らなければ、普段は押さえつけているシャドウと呼ばれる自分が暴走し、忽ち化け物となってしまうでしょう。すでに化けているあなたに「化け物になってしまう」と表現するのはおかしいのですけれど。
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台本
ペルソナ…人間の外的側面のこと。
シャドウ…ペルソナとは反対に、普段は押さえ込んでいる自分のこと。
もし、この二つの均衡が崩れてしまった時、人間は一体どうなってしまうのでしょう?
ここはなんでも揃う狐媚貼面(こびてんめん)商店街。不定期開催のこの商店街では多くの悩める人間が訪れるのです。
「さアさ、今日もやってンよ! よってらっしゃい、見てらっしゃい!」
今日も安売りの鐘が鳴り、鬼の号令の下人々は手を伸ばす。
理想の自分を、新しいものを、流行のものを求め、同族であるはずの人を蹴散らし、我先にと貪欲(どんよく)に、傲慢(ごうまん)に、そして強欲(ごうよく)に手を伸ばす。まるで獣のように。
ああ、例えばそこの彼。感情が乏しいと言われたのを気にして「表情」を手に入れたようですよ?
手に入れた戦利品は早速使いたいのが人の性。ほら見てください、更衣室はいつでも満員御礼大繁盛!
もういらないとばかりに古臭いものは投げ捨てる。敗者は恥とプライドを投げ捨てて、勝者のお下がりに縋る。
そして仕上げとばかりに笑顔や取り繕いといった仮面で自らを塗りたくるのだ。
必死に新たな自分を作り出すその姿は正に化け猫化け狐化け狸。なんと、現代にも妖と言ったものは存在したのですね!
ん? 何か忘れていたような……、おっと、思い出した。
「なんでも揃う」が売り文句の狐媚貼面商店街では約束があるんです。
一つ、化けの皮を決して剥がされてはならない。
二つ、例え不良品であろうとも返品交換対応は不可。慎重にね。
三つ、敗者は奪い取ることができる。勝ったからといって油断は禁物だ。
彼らの本性、それは誰にもわからない。知られたら最後、地獄を見るのははて……どちらだったかな?
もし、約束を違えてしまえば、普段は押さえ込んでいる自分が暴走し、たちまち化け物と化してしまうでしょう。……あ、間違えた。あなたたちはすでに化けていましたよね。では……
なんと命名すればよろしいのでしょう?
「改頭換面(かいとうかいめん)」「人は、彼らの魂に直面することを避けるためなら、どんな馬鹿げたことでもしようとする」とはよくいったものです。
剥がれ剥がされ転がされ。勝負に奪われる彼らの顛末、とくとご覧あれ。
え? 何故私のような子供がこんなところにいるのか、って?
やだなぁ、よくいうじゃないですかぁ。
「能ある鷹は爪を隠す」……ってね。

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